湖西市の特産品「うなぎ」を食べよう!
撮影協力:うな善
湖西市の特産品といえば「うなぎ」。湖西のうなぎのあれこれについて詳しく紹介します。
2024年、夏の「土用の丑の日」は7月24日(水曜日)と8月5日(月曜日)です。
1. 昔も今も、湖西といえばうなぎ!
湖西市といえば「うなぎ」
湖西市といえば…何が思い浮かびますか?
湖西市外の人にアンケートを取ったところ、1位「浜名湖」、2位「新居関所」といった自然・歴史資源に続き、3位に「うなぎ」がランクインする結果となりました。農業・漁業がともに盛んな湖西市で不動の人気と知名度を誇る特産品が「うなぎ」です。
ふるさと納税の実績にもその人気が表れています。湖西市へのふるさと納税寄附額は年間2億1千万円ですが、うなぎを返礼品とした寄附がそのうちの1億5千万円、実に71%を占めています(令和4年度)。ありがたいことに、湖西市のうなぎを気に入って毎年申し込んでくれるファンも全国にいます。
江戸時代からうなぎは名物
蒲焼きのタレを蓄えた甕(かめ):
紀伊国屋資料館(湖西市新居町) 収蔵
江戸時代、現湖西市の新居宿の旅籠(はたご) 紀伊国屋では、秘伝のタレを使ったうなぎの蒲焼きが提供され、評判だったことが当時の旅日記に記されています。現在も紀伊国屋資料館に、蒲焼きのタレを保存していた甕(かめ)が残っています。
また、歌川広重が描いた江戸時代の浮世絵「荒井 名ぶつ蒲焼」(浜松市美術館 収蔵)にも、うなぎ蒲焼きが描かれており、浜名湖で養殖が始まる以前からこの地域の名物だったことが分かります。
2. 浜名湖うなぎ養殖の始まりと、これからのこと
明治時代、浜名湖では日本で初めてうなぎ養殖に成功し、浜名湖うなぎは全国的に有名になりました。浜名湖でうなぎ養殖が盛んになった理由や、浜名湖うなぎの強みとは…?
この方にお話を聞きました
外山 昭廣(そとやま あきひろ) さん
- 浜名湖養魚漁業協同組合 組合長
- 日本養鰻漁業協同組合連合会 会長(役職は令和3年6月時点)
昭和22年東京生まれ。結婚を機に湖西市入出に移り住み、100年以上続く養鰻業者の4代目を務める。
100年以上の歴史を持つ浜名湖のうなぎ養殖
―浜名湖はうなぎ養殖発祥の地
明治24年に原田仙右エ門(はらだ せんえもん)が新居町の7ヘクタールの池で試みたのが浜名湖でのうなぎ養殖の始まりと言われています。その後、隣の舞阪でうなぎ養殖が成功し、浜名湖全体に広がりました。
湖西市内でも、新居(あらい)や新所(しんじょ)、市役所の近くでも、そこら中が養鰻池だらけだった時代がありました。
―浜名湖でうなぎ養殖が盛んになったわけ
浜名湖はもともと天然うなぎの生息地で、稚魚であるシラスウナギがよく捕れたのは要因の一つですが、何といっても交通の便の良さは最大の利点でした。東海道のちょうど真ん中に位置し、他の地域から餌を仕入れやすい環境でした。浜名湖養魚漁業協同組合も、餌を共同購入するために設立され、舞阪の組合事務所の中にまで汽車が乗り入れられて餌を大量に仕入れていました。
―養殖技術は浜名湖から全国へ
浜名湖の養鰻業者が全国にノウハウを伝授していきました。浜名湖で生まれた養殖技術が手本となって今の日本のうなぎ養殖があります。九州で長年養鰻を営む人に「昔、湖西から来た人に養鰻を教わった」と言われたこともあります。
かつてはうなぎといえば浜名湖でしたが、全国でうなぎ養殖がおこなわれるようになると、土地や人件費が安く大量生産が可能な九州地方などで生産量が急速に増えていきました。一方、浜名湖地域は土地が高く、うなぎ養殖をやめてもほかの事業で土地活用が比較的容易だったこともあり、養鰻業者は減少していきました。今では、静岡県のうなぎ生産量は全国4位、生産量ではわずか9%に過ぎません。
他には負けない歴史の味
うなぎの大きさを一瞬で見分けて選別する作業(浜名湖養魚漁業協同組合にて)
―浜名湖うなぎの強み
長年積み上げてきた「歴史の味」が浜名湖うなぎの強み・魅力です。浜名湖の養鰻業者には、4代目5代目の担い手がごろごろいて、何代にもわたって継承してきたうなぎの飼い方の知識・技術がありますから、味ではほかの地域には負けません。
うなぎの稚魚を池に入れる作業は1年に1回だけ。多くても生涯で40回程度しか経験できません。だからこそ、祖父母から、その技術を積み重ねてきた強みが出てきます。積み重ねたものに新しい挑戦を付け足しながら、各業者が日々試行錯誤を続けています。
また、浜名湖養魚漁業協同組合では、一匹一匹のうなぎが誰にどのように育てられ、加工製造されたかの生産履歴を記録・公開する仕組み(トレーサビリティ)に取り組んでいます。大量生産じゃないからこそ一匹一匹に目が届くという強みがあり、食べる人の安心安全に繋がっています。
参考:浜名湖養魚漁業協同組合「トレーサビリティ」について(外部リンク)
浜名湖うなぎのこれから
―うなぎ養殖の課題
稚魚が減っていることは最大の課題です。うなぎの完全養殖は実験としては成功していますが、全国的な需要に応えらえるだけの大量生産への道のりは遠いため、稚魚は天然に頼るしかありません。稚魚の量が少なくても多くの人に食べてもらうため、稚魚一匹一匹を大切に、また、大きく育てるための試行錯誤を続けています。
また、養鰻業者、仲買業者、漁師などが協力し、うなぎの稚魚が少しでも増えるよう、卵を産む頃合いの親うなぎを買い取って放流する事業も行っています。また、浜名湖や都田川にうなぎが戻ってきやすい環境を保護する取り組みも行っています。
―今後の抱負
全国的に、特に若い人の間で「浜名湖うなぎ」の知名度が薄れていると感じています。生産量だけでなく、ブランド力・付加価値を上げていきたいです。「浜名湖うなぎといえば希少なおいしいうなぎ」と全国で認知してもらえるように頑張りたいです。
湖西市民にメッセージ
かつて養鰻業者が市内に溢れていたころの名残で、「うなぎは買うものではなくもらうもの」という意識が湖西市民にはあるようですが、自分で買ったうなぎは一層おいしいものです!ぜひ買ってほしいです。さらには、ほかの地域の人に胸を張って、「浜名湖のうなぎはおいしいよ」と広めてもらいたいですね。
3. 湖西でうなぎを食べよう!
うなぎの蒲焼き中間地点
うなぎの蒲焼きの調理方法は関東と関西で異なります。一般的に関東では、一度蒸してからタレ焼きにしてふっくらと仕上げるのに対し、関西では生のうなぎを直火で焼くことでパリッと香ばしく仕上げます。捌き方も、関東では背開き、関西では腹開きという違いがあると言われています。
浜名湖周辺はちょうどその中間地点で、蒸しのありなし、捌き方、タレの味など、東西の特徴が混ざり合って、お店ごとに異なっています。ぜひいろいろなお店で食べ比べて、お気に入りの味を見つけてください!
市内でうなぎを扱う主なお店
蒸しあり | 蒸しなし |
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50音順・( )内は所在地
市内で食べられるいろいろなうなぎ料理
多くのうなぎ商店で白焼きも売っています。わさび醤油でさっぱりと食べたり、タレで煮て食べる人が多いです。(画像提供:やまへい)
うなぎきんし丼(炭焼うなぎ五條)
うなぎ天丼(稲庭うどん葉月)
新所原駅構内で買って天浜線車内で食べられる「浜名湖産うなぎ弁当」は観光客にも人気(駅のうなぎ屋やまよし)
うなむす(炭火焼うなぎ 山栄)
つかまえたうなぎを自分で蒲焼きにして食べよう!
今切体験の里 海湖館では、うなぎつかみ取り&蒲焼き体験を実施しています。池で泳ぐヌルヌルのうなぎを手でつかまえて、自分で蒲焼きにして食べるという、うなぎのまち湖西市ならではの貴重な体験ができます。事前予約が必要です。
とき
例年4月下旬から9月にかけての土日祝日および夏休み
開催日は湖西・新居観光協会ウェブサイト(外部リンク)にてご確認ください。
ところ
今切体験の里 海湖館
(国道1号浜名バイパス 新居弁天インターチェンジから車で3分)
予約・お問合せ先
きらく市食堂 榊原 電話 090-8186-1217
主催
湖西・新居観光協会
関連リンク
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秘書広報課 秘書広報係(広報)
〒431-0492
静岡県湖西市吉美3268番地
電話番号:053-576-4541 ファクス番号:053-576-1139
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更新日:2024年06月27日